スペシャルインタビュー Vol.1 私のやる気は、お客さまの「実感」の声。

湯地知子さん
コンシューマーブランド事業部 C/B企画部 ルシェリ商品企画担当

2011年9月にKOSÉ入社。
「データ分析が好きでマーケティングの仕事をしたかった」というほどデータ好きの理系女子。
モノ作りの基本は徹底したデータ分析とお客さまのインサイトを知る事であるというポリシーで数々の商品を企画。企画担当は8年目になる。

湯地知子さんが開発に関わった商品

LECHERI 大人のおしゃれ手帖2019 編集部特別賞 2019年下半期 ベスト SST コスメ大賞 コスパ賞第1位

日本初※シワ改善化粧水・乳液

肌の奥*1までうるおいをしっかりと届け、
しっとりと内側から弾むような肌へ導く薬用化粧水。

ルシェリ リンクルリペア ローション
【医薬部外品】  
160mL、つめかえ用 150mL

コクのあるテクスチャーがやみつきに。使うほどに肌が柔らかくなる薬用乳液。

ルシェリ リンクルリペア エマルジョン
【医薬部外品】 
120mL、つめかえ用 120mL

商品詳細ページ

徹底したユーザー目線!データ好きリケジョの快挙 日本初※のシワ改善化粧水・乳液が誕生

モノ作りの基本はユーザー調査

日本初 のシワ改善化粧水・乳液が登場した。「化粧水と乳液を使ってシワ改善ができちゃうの?」と誰もが耳を疑ってしまうこのフレーズ。それを叶えたのがKOSÉのエイジングケア*2 ブランド「LECHÉRI(ルシェリ)」であり、企画を担当した湯地知子さんだ。

毎日の暮らしの中で、顔の表情の動き、例えば笑ったり、泣いたり、怒ったりするだけで顔にシワが刻まれます。これはある意味仕方のないことだと諦めている人も少なくないのですが、そこに一石を投じたかったんです。

シワ対策と言っても、その実態って見えているようで見えていないんです。作り手となるメーカー側と受け手であるお客さまとの間に見えない壁があるとしたら、それを取り払わないと双方にとって良い商品にはならないと思うんです。
だからこそ徹底したユーザー調査を行い、数字の奥に潜む真実・お客さまの声に耳を傾けています。やるからには徹底してやらないと気が済まない性格(笑)。これは私のモノ作りの基本になっています。

※ 発売されているシワ改善効能の医薬部外品において、化粧水・乳液を同一ブランドにラインアップ。 (Mintel社データベース内 2019年5月 当社調べ)

1万人データから見える、シワ悩みのあれこれ

図1:シワ悩みの箇所
※イラストはイメージです。 ※平均, N=489
図2:「シワ」に気づく・気になる場面

1万人のユーザー調査を行なった結果、実に興味深いデータが出ました。ここ最近のシワ悩みの特徴は「気になるシワは1つではない」ということ。シワが気になるパーツのトップ3は「口もとのシワ」「おでこ」「目尻」なのですが、年代別に調べてみると複数挙げている方が多く、30代でも平均2.6箇所、40代では3.1箇所、60代以降は4.4箇所にのぼります。<図1> つまり、顔全体においてシワ悩みがある事が分かります。

図1:シワ悩みの箇所
※イラストはイメージです。 ※平均, N=489

では、どんな時にシワが目立つ・気になるか聞いてみると、「笑ったり、怒ったり顔の表情が変わるとき」に票が集まりました。<図2> 私も同じように感じることがあるのですが、鏡を見ている時はニコッと笑った、無意識にしている “良い表情”ですよね。ですが、日常の顔は笑ったり、怒ったり、考え込んだり、表情もさまざま。だからふとした時、異なる角度から見た顔に「え? こんなにシワが目立っているの?」「こんな顔しているの?」と。そのギャップにショックを受けるんです。

図2:「シワ」に気づく・気になる場面

ここで、気になるシワのケア法を聞いてみたところ、70%を超える方が「効果的なケア方法を知らない」と回答。50代以降の方は「もっと早くお手入れしておけばよかった」と後悔している一方で、「シワケア対策はいつから始めたらいいのかわからない」という事実も。このデータから、お手入れの始め時や継続の必要性など、お客さまにしっかり伝えるべき課題も出てきました。

図3:シワ改善アイテムの使用意向

奇想天外!意外な一言が新商品の誕生へ

実はユーザー調査をする前からエイジングケア*2 ブランドであるルシェリでシワ改善アイテムを出すことを考えていました。ですが、2018年にKOSÉ初のシワ改善美容液「ONE BY KOSÉ ザ リンクレス」を出したため、似たような価格帯、同じ売り場で商品を出すとお客さまが混乱してしまうという懸念があったのです。
ルシェリからシワ改善アイテムが出せないのかと頭をよぎりましたが、意外なデータが見つかったのです。それは、「シワ改善のお手入れを化粧水でしたい」という調査結果でした。<図3>

図3:シワ改善アイテムの使用意向
化粧水の使用意向 82.9%

通常のデイリーケアに重ねづけできる美容液やクリームは効果を実感しやすいですし、部分使用のアイテムの方が感触の細かい制約が少なく作れます。今、世の中に出ているシワ改善アイテムのほとんどがクリームまたは美容液であるのはこの理由からです。
でも、調査結果は私たちの思惑とは真逆の答え。最初は「化粧水でシワ改善なんて無理」と思っていましたが、「作れないと思い込んでいるだけなのでは?」と考え直すようになっていたのです。

私自身面倒くさがり屋で、お手入れアイテムをプラスしたくないという気持ちもありました。今気になるシワと今は見えづらい小さなシワのケアも部分使用のスペシャルケアではなく、いつもの化粧水と乳液のデイリーケアで行えたらどんなに楽だろう。考えれば考えるほど想いは募っていきました。「とにかくやってみよう!」あの時は前へ進むことしか考えていませんでした。

「できるわけない!」と猛反対

ですが社内の反対に合い、意気消沈(笑)。確かに、今までの経緯を考えればそう言われるのもわからなくはないんです。返ってきたのは「できるわけがないだろう」という言葉。ですが、ここで諦めたらお客さまの声がなくなってしまう。何のためのユーザー調査なのかと思うと、悔しくて諦めきれませんでした。

何度もデータを見せ、上司を説得しました。「無謀だよ」という返事にも、「これが完成したら日本初のシワ改善化粧水・乳液ですよ!」と打ち返し(笑)、一歩も引き下がりませんでした。研究所にも出向き、新しい処方作りの相談をしました。幸いにも有効成分である<リンクルナイアシン>は水溶性成分だということも強い後押しになり、可能性が開けたのです。ですが、シワが気になる方は乾燥していたり、ハリが低下している傾向にあるので、通常の化粧水のようなみずみずしくさっぱりめのテクスチャーだと改善実感がないと考えてしまいます。使った瞬間から充実感を得られるよう、こっくりとしたテクスチャーのベースをお願いし、何度も試作を繰り返しました。

シワ改善化粧水・乳液がついに完成

このテクスチャーにおいてもデータ分析の結果を採用しました。調査結果からシワ改善効果をより感じやすいのはハリ・ツヤの出やすいとろみのあるテクスチャーであることがわかり、トライすることにしたのです。KOSÉは元々、みずみずしくすーっとなじむテクスチャーの化粧水に定評があったので、その中であえてとろみのあるテクスチャーと浸透感が両立する領域にトライするのも大きなチャレンジではありましたが、「やってみよう!」と。

シワ改善効果のある有効成分<リンクルナイアシン>を配合し、ルシェリ独自のイオン化カプセルの働きで、肌に引き込まれるように浸透*1する化粧水が完成しました。とろみがあるのにべたつかず浸透する心地よい感触は、一度使うと手放せなくなるほどの感動モノです。
同時に使う乳液もふっくらと肌をやわらげ、立体的なハリ・ツヤのある素肌に。私たちが理想とするハートのような顔立ち印象に導きます。

店頭販売に先駆け、8月からウェブ限定で販売しているのですが、口コミで購入してくださるお客さまが増えています。ドラッグストアなどの流通の評判が良く、非常に期待値が高いため、計画比130% (19年10〜12月)という嬉しい悲鳴。全国発売日前にも関わらず当初の計画から30%増で生産しています。この数字を目の前にして、「諦めなくて良かった」と実感しています。データは私たちに必要な声を届けてくれる。これからもお客さまに一番近い存在であり続けたいですね。

*1 角層まで

*2 年齢に応じたお手入れ

撮影/斉藤大地  文/長谷川真弓

商品詳細ページ