みやぶ人 ~美しく生きる人には、美学がある。~

Column2017 / 11 / 01

薬膳で活用される「陰陽の法則」 身も心も美しくなる考え方をご紹介。

post02main-visual_sp.jpg20代の時に、ある方にこんな言葉を教えてもらいました。

陰徳(いんとく)転じて陽報(ようほう)を聞く」

薬店で仕事をしていたころ、努力してもなかなか成果が出ないことに悩んでいました。留学時代にお世話になった漢方の先生に相談したとき、いただいたのがこのアドバイスでした。

漢方の考え方の根本には、「陰と陽」というものがあります。「陽」は、目立つもの、明るいこと、広がること、上、温めるものを表し、「陰」は、人目に見えないもの、暗いもの、狭いこと、下、冷やすものを表します。陰と陽の二つの要素が万物とその変化をつくるという考え方です。

陰陽の考え方は、漢方や薬膳にも活かされ、体の働きも陰陽で表現します。例えば、体の「エネルギーや気」は陽。物質的な栄養である「血液や体液」は陰とし、この陰と陽が偏らず、バランスがとれた状態が「健康」です。なんらかの原因で陰陽のバランスが偏りすぎたときが病気の状態です。そのようなときも食材や漢方を使って、偏ったバランスを整えて行きます。

食材では、体を温める、エネルギーを上げる食材は「陽」、体を冷やす、エネルギーを鎮静化する食材は「陰」に分類されます。例えば、エネルギーが過剰になって、体が熱くなったり、精神的にもがんばりすぎがやめられないときは、陰の食材や漢方を使って、多すぎる熱やエネルギーを抑え、逆に、冷え性や気持ちが落ち込んでしまったり、元気が沸いてこないときは、陽の食材や漢方を使って、体を温めて、エネルギーをチャージします。

 雪肌精MYVの中に使われる主な和漢生薬エキス。実はこれも陰陽の考え方に基づいてブレンドされています。肌の透明感をもたらすハトムギは、体を冷やす「陰」の生薬です。「当帰(とうき)」は温める「陽」の働き。そして、金桜子、金盞花は陰陽に偏らない中立の効果。つまり、陰陽のバランスを十分に考慮した、組み合わせになっています。

「陰徳転じて陽報を聞く」漢方の先生が教えてくれたこの言葉。「陰徳」とは目に見えない徳、つまり、人にはすぐには評価されない努力を意味します。「陽報」とは、誰かに評価されることや、結果がでること、報われることを意味します。 つまり、「陰徳」を積み重ねていくことによって、その徳に見合うだけの「陽報」がやってきて、形ある成果となる。なぜなら、陰と陽は常にバランスする方向へ動いていくからです。

「努力や工夫なしで、うまくいっても、だめなのよ。陽報を先にもらったら、後から、陰徳を積み上げなきゃいけないんだから。今、焦らないで、淡々とやりなさい。」

目先のことに振り回されず、日々を楽しむために、彼女のこの言葉は、今も私の支えになっています。

食べること、美しくいること、気分よく過ごすこと、すべてのヒントが含まれる陰陽の考え方、ぜひ、親しんでみてください。

Profile

薬膳料理家 阪口 珠未(さかぐち すみ)

株式会社漢方キッチン代表 薬膳セラピスト資格 創始者 国立北京中医薬大学 日本校薬膳研究科講師 「おいしく、カラダとココロをリリースする」を テーマに、 1999年、薬膳スクール&漢方薬店「漢方キッチン」設立。 おいしく、日本人のカラダに合う薬膳料理研究のパイオニアとして 活躍中。
【株式会社漢方キッチン】

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